• 2024年12月22日 1:12 AM

環境エピジェネティクス 研究所

Laboratory of Environmental Epigenetics

第31回「俳句逍遥」

 私が俳句を初めてもう15年にもなった。しかし、普通ならもう同人になっている時期だが、まだなっていない。私の俳歴はまず湯河原にある「春野」から始まった。ここで1年間故黛 執先生の入門講座の終わった後に、「ちとせ句会」が開設され、現主宰の奥名春江先生と戸邊喜久雄先生からご指導を受けた。ここではみんなが俳句の初心者であり、俳句のイロハからおよそ5年間勉強した。

 しかし、ある団体に勤務することになり、土曜日に句会をやっていた天為小田原句会に転会した。参加者の多くがすでに同人であり、そうでない人も他の句会で同人であって、初心者は私ともう一人だけであった。天為の主宰は有馬朗人先生で、元文部大臣・東大総長という物理学者である。有馬先生はもう90歳を迎えられているが、矍鑠として選句を行っておられる。先生の選句は厳選主義で、そのために私は10年たっても5句選から2句選までの間を彷徨っている。

 そのうちに天為句会の中の「火の会」にも参加して、もう2年近くになる。こちらは選者が異なっている。ここでは思いがけず成績が良く、「期待の新人」扱いされていたのは少し面映ゆかった。ここでの俳句も最後には「天為」に投句し、有馬主宰の選を受けるので、成績はやはりぱっとしない結果になっている。

 今年から、「現代俳句」にも参加し、コロナ禍の今はネット句会として続いている。そのため会員の方々にまだお会いしたことがない。ここでの選も思ったより厳しくて、優秀句に採られたことはまだない。結局、私の俳句はまだまだなのだろう。私は「夏井いつきさん」の「プレバト」はあまり好きではない。俳句の鑑賞では、皆それぞれに異なっていることが面白いと思う。たしかに「いつきさん」の俳句に対するセンスや知識は素晴らしいとは思うが。

 俳句は、紙と鉛筆があれば誰でもできる。だから何歳になっても俳句は出来るだろう。北大の教授がAI俳句作成装置(一茶君)を作り、名だたる俳人と対決させたが、その勝敗は甲乙つけられなかったという。ちなみにこの装置は、人がどのように思考能力を得たかを検証するために作成されたということである。
      初紅葉工作室での句会かな    徹   (11/06/20) 
黛先生も有馬先生も、今年共に90歳で亡くなられた。ご冥福をお祈りしたい。