• 2024年12月22日 2:07 AM

環境エピジェネティクス 研究所

Laboratory of Environmental Epigenetics

続澁声徹語 第39回 「Jackson研究所」

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 マウスの系統保存で有名なMaine州のJackson Lab.へは2回お邪魔した。最初は約10日間の「ヒトとマウスの比較遺伝学」の連続講義を聞くためだった。
当時Harvard大学に留学中の西 義介さん(当時日本たばこ)のBostonのお宅にお世話になり、双発機でBar Harbourに到着した。途中、Portlandに立ち寄った時に、農夫らしい人が一つだけあった空席に乗ってきたのには驚いた。

 ここは小さな島で、島全体が国立公園となっており、夏は風光明媚な保養地である。しかし、冬は厳冬となり、気温は-30℃まで下がるということだ。その寒さは、かって留学された土川先生(遺伝研)や後輩の織田君から伺った。講義の参加者はアメリカ外からもあり、それぞれが島のコテージに宿泊した。まだ夜も明けない時刻にバスで観光客が到着し、眠りを破られるのには大いに迷惑した。

 講演会の詳しい内容はもう忘れてしまったが、この会はアメリカでも人気があって、参加には選考があり、西さんは2回目の選考で合格したという。この会はJohns Hopkins大学のMcSick教授とJackson Lab.のDr. Roderickとが企画して、講演はヒトとマウスの遺伝学、生理学や疾患などを比較検討しながら進められた。また実習や統計演習もあり、それらは近くの小学校で行われた。その時、トイレ(小)は(大)の奥にあり、(大)にもドアがないことにびっくりした。

講義は研究所の講堂で行われた。かって森脇先生は、留学中にこれに参加したが、請われてここで講義をされたという。Lab.の見学も行われたが、機器類はそれほどでもなかった。しかし動物室への入室はできなかった。玄関には少数の実物のマウスが展示されており、かって「マウスのがん免疫」でNobel医学生理学賞を取られた、Dr. Snellの写真とNobel賞のレプリカも飾ってあった。

もう一度の訪問は、織田君が留学中にやっていた、変異原による染色体の転座を検出できるマウスの分与をお願いするためにDr. Roderickに会いに行った。実はこの時は、留学中に問題を起こしたK君と会うための旅でもあった。翌日ゆっくり話をしようと言っていたが、RI講習会を理由に電話で面会を拒絶された。Oak Ridge 国立研究所には,その2年後にやっと訪問することが出来た。
     ロブスターの茹で上がりを待つ夏の浜   徹 (01/09/21)