• 2024年12月31日 3:11 AM

環境エピジェネティクス 研究所

Laboratory of Environmental Epigenetics

第1回 「AI と囲碁」

第1回   「AI と囲碁」
先日の朝日新聞に面白い記事があった。「超人囲碁AIまさかの弱点」というもので、今ではすべての棋士よりもずっと強いと考えられているAIの一つである「絶芸」が、芝野二段に負けてしまったという記事であった。芝野二段は芝野虎丸名人の弟であるが、彼が特別に強いわけではない。

超人AI「アルファ碁」は、2016年に、当時世界一であったイセドル九段(韓国)を4勝1敗と圧倒した。彼は「自分が1位になったとしても、AIには勝てない存在だ」と言った。それ以来、ほとんどの世界や日本のプロ棋士もAIを使って碁の勉強している。そのAI碁が棋士に完敗してしまったのである。

これには前段があり、今年の2月にアメリカの有段者が超人AIに15戦対戦し、14勝したというのだ。彼は調査会社と組んで、AIの弱点を徹底的に調べたということである。彼は普通では考えられないような手を次々に打ち、それにAIが混乱してしまったということである。芝野2段はこれをマネしてAIと対戦し、AIに完勝したのだった。

この対戦を最後に「絶芸」は1週間姿を消したという。どうやらメインテナンスに励んでいたらしいが、復帰後、芝野2段と対戦してまたも負け、3ケ月も「入院した」という。調整後に復帰して、今度は芝野二段のこの作戦にはまらなくなり完勝したということだ。

 芝野二段は、「基本的にはAIは人間よりも上であるが、劣っている部分もあることを示すことができた。人間が露骨に弱点を狙えば、ぶっ壊せるという可能性をしますことができた」と語っている。

 私はAIに関しては、ほとんど素人であるが、このことは、現在、急速にさまざまな面で社会生活に浸透しつつあるAIにも、意外な欠点があることを示しているのではなかろうか。この事件は、来るべきAI社会に大きな警鐘を与えているものと思われる。私は、相変わらずの「へぼ碁打ち」であるが、これからも自分の頭脳で一手ずつ碁を打ち続けてゆきたいと思っている。
夕立にやっと終わりし因縁碁   徹      (15/10/23)